手の太陰肺経と手の陽明大腸経の流注
手の太陰肺経と手の陽明大腸経の流注図
手の太陰肺経  中焦に起こり下って大腸を絡い、還って胃口を循り、横隔膜を上って肺に属し
 肺、気管、喉を通って
腋下に出て上腕を下る。
(中略)
 その支は腕関節付近から示指(手の陽明大腸経)に連絡する。
 正経から分かれた支は淵腋穴(胆経)と極泉穴(心経)の前辺りから胸内に入り肺に行く。
 そこから一旦大腸に行き
 また還って上り缺盆に出て
 喉の周辺を循って後大腸経に合する。

手の陽明大腸経

① 示指の端(商陽穴)に起こり上肢を肩まで上り
② 大椎穴と交会する。ここから缺盆穴に下って
③ 肺を絡い
④ 横隔膜を下り大腸に属する。
⑤ その支は缺盆より頸に上り、頬を貫き下歯に入る。
⑥ 還って体表に出て口を挟み人中穴に交わる。
⑦ ここで左右の経脉が交差する。さらに上って鼻孔を挟む。

参考文献
 黄帝内経霊枢(経脉・経別)


足の陽明胃経と足の太陰脾経の流注図

足の陽明胃経と足の太陰脾経の流注図足の陽明胃経

① 鼻背から起こり一方は膀胱経に入る。
② 本経は鼻の外側を下り上歯に入る。次に上歯から還って体表面に出て口を挟み唇を環る。更に下って承漿穴に交わり、反転して下顎角を循って大迎穴に出る。
③ 頬車を循って耳前を上って客主人穴を過ぎ髪際を循りひたい(頭維穴)に至る。
④ 別枝は大迎穴の手前から人迎を下り咽喉・気管を循り缺盆に入り横隔膜を下って胃に属し脾を絡う。
⑤ 更に缺盆から出た脉は前胸部を下り気衝の中に入る。
⑥ また胃からは別枝が出て腹の裏を循り下って気衝で本脉と合す
⑦ 以下、髀関、伏兎と下り膝の中を下る。本脉は更に下って足関節前面から足背を通り厲兌に至る。
⑧ 以下2つの別枝があり、三里より分かれて下り第3趾に至るものと
⑨ 衝陽穴から別れて隠白穴につながるものとがある。

足の太陰脾経

 第1趾(太敦)から起こり(中略)腹に入って脾に属し胃を絡う。
 更に横隔膜を上って咽を挟み舌の根元から舌下に散る。
 その支は胃より別れて横隔膜を上り心中に注ぐ。

参考文献
 黄帝内経霊枢(経脉・経別)


手の少陰心経と手の太陽小腸経の流注
手の少陰心経と手の太陽小腸経の流注図手の少陰心経


 心中に起こり横隔膜を下って小腸を絡う
 その支は心系より上って咽を挟んでのち、眼に係わってくる。
 本脉は心系より肺に上り下って腋下(極泉穴)に出る。
 下って上腕後側を循り、肘の内側を下り前々腕尺側部を循る。更に、掌側尺側端に至り掌の内側から入り小指の橈側を循ってその端に出る。

手の太陽小腸経

① 小指の端(少沢穴)に起こり、(前略)肩関節に出て、次に肩甲骨を繞(めぐ)り大椎穴を経て缺盆に入る。
② 心を絡い
③ 咽を循り
④ 横隔膜を下って胃に至り最後に小腸に属する。
⑤ その別枝は缺盆より頸を循り頬に上り、眼の鋭眥(瞳子リョウ穴)に至り却って耳中に入る
⑥ 更に頬から別れた脉は鼻に至り眼の内眥(睛明穴)に至り斜めに頬骨を絡う。

参考文献
 黄帝内経霊枢(経脉・経別)


足の太陽膀胱経と足の少陰腎経の流注
足の太陽膀胱経と足の少陰腎経の流注図足の太陽膀胱経

① 眼の内眥(睛明穴)に起こり額に上り百会穴に交わる
② 別枝は百会穴より耳の上角に至る。
③ 本脉は百会穴より脳内に入り再び体表に出て項を下り頚肩の周りを循り背骨に沿って腰まで下る。
④ そこから中に入って背骨を循り、腎を絡い、膀胱に属する。
⑤ その別枝は腰を更に下って背骨を貫き膝窩(委中穴)に入る。
⑥ 更に後頭部(天柱穴)の辺りから左右に別れた枝が肩甲骨を貫き背骨を挟んで下り環跳穴(胆経)を過ぎ大腿の後外側を下って委中穴で合流する。
⑦ 以下、腓腹筋を貫き外踝の後に出て京骨を循り第5趾外側(至陰穴)に至る。
⑧ 別経は尻を下ること五寸にて別れて肛門に入り、膀胱に属し、散じて腎に行き、背骨を循り、心に当りて散じて入る

足の少陰腎経

① 第5趾底に起こり斜めに湧泉穴に走り然谷の下に出て内踝の後を循り、別れて踵の中に入る。
 腓腹筋を上り膝窩の内側に出て大腿の内後側を上り背骨を貫き腎に属し、膀胱を絡う。
 背骨を貫く別枝は十四椎で体表に出て帯脉に属する。
 本経は腎より上って、横隔膜を貫き、肺に入って更に上り、咽喉を循り舌本を挟む。
 ここから更に項に出て膀胱経と合流する。
 肺より出た別枝は心を絡い胸中に注ぐ。

参考文献
 黄帝内経霊枢(経脉・経別)



手の厥陰心包経と手の少陽三焦経の流注図

手の厥陰心包経と手の少陽三焦経の流注図 手の厥陰心包経

 胸中に起こり出でて心包絡に属し
 横隔膜を下って三焦を順に循る
 その支は胸を循った後、脇に出て淵腋穴の下ること3寸から上って腋下に至る。
 上腕の肺経と心経の間を行き肘に入る。
 更に前腕を下り掌中(労宮穴)に入り中指端(中衝穴)に出る
 労宮穴から別れた別枝は環指を循り指尖の関衝穴(三焦経)に出る。  また胸中より別れた経脉が咽喉を循り、耳の後に出て完骨穴(胆経)の下で胆経に合流する

手の少陽三焦経

① 環指の端に起こり上って第4中手骨と第5中手骨の間に出て手関節の背面(陽池穴あたり)を循り、橈骨と尺骨の間を上り、肘を貫き上腕を循り肩に上がって胆経の後ろに交わり出て缺盆に入りダン中にいく
② 散じて心包にくだり、更に横隔膜を下り循って三焦に属する
③ 別枝はダン中より上って缺盆に出る
④ 次に項を上って耳の後を循り真っ直ぐ上って耳の上角(角孫穴付近)出る。折り返して頬を下り眼窩下孔の辺りに至る
⑤ 別枝は耳の後より耳の中に入り耳前より出て客主人の前を過ぎて頬に交わり目の鋭眥(瞳子リョウ穴)に至る。

参考文献
 黄帝内経霊枢(経脉)


足の少陽胆経と足の厥陰肝経の流注

足の少陽胆経と足の厥陰肝経の流注図 足の少陽胆経

① 目の鋭眥(瞳子リョウ穴)より起こりコメカミの辺りに上りそこから耳の後に下り頸を循り三焦経の前を行き肩上に至る。そこからたち返って三焦経の後に交わり出て缺盆に入る。
② その枝は耳の後から一旦耳中に入りその後再び出てきて耳の前を走って目の鋭眥(瞳子リョウ穴)の後に至る。
③ 別枝は鋭眥(瞳子リョウ穴)より別れて大迎に下り、三焦経と合流し眼窩下孔の辺りに至り、頬車に加わり頸を下って缺盆に合し、それから胸中を下り、横隔膜を貫き、肝を絡い、胆に属する。
④ 更に脇腹の裏側を循り、気衝に出て毛際(陰毛の際)を繞(メグ)り横に行って大腿のくぼみ(居リョウ穴・環跳穴付近?)に入る。
⑤ 本経は缺盆から腋に下って胸を循り季脇部を過ぎ、下って大腿のくぼみ(居リョウ穴・環跳穴付近?)で別経と合流する。
⑥ そこから大腿の外側を循って下り膝蓋外側に出て腓骨頭の前(陽陵泉穴付近)に下りそこから真直ぐ下って絶骨(懸鐘穴付近)の端に至り、下って外踝の前に出て足附(臨泣穴付近?)を循り第4趾と第5趾の間に入る。
⑦ その支は足附(臨泣穴付近?)を別れ第1趾と第2趾の間に入り第1趾を循ってその尖端に出ると折り返してその爪を貫き爪甲根部に出る。
⑧ また正経は大腿を循り毛際(陰毛の際)に入り肝経と合流する。
⑨ 別枝は季脇の間に入り胸の裏を循り胆に属する。散じて肝に上り、心を貫いて更に上り咽喉を挟んで通って下顎に出る。次に顔面に散じて目に関わり外眥に合流する。

足の厥陰肝経

 第1趾の爪甲根部に起こり足背を上り循って内踝を去ること1寸の辺りから踝を8寸上ったところで脾経と交わって内膝を上り大腿内側を循り陰毛内に入る
 陰器を通り過ぎ小腹に至る
 次に胃を挟み、肝に属し、胆を絡い、上って横隔膜を貫き脇肋にくまなく行き渡る
 更に上って咽喉の後を循り、上って上顎に入る
 また更に目系に連なり更に上って額に出て百会で督脉と合流する
 その枝は目系から別れて頬の裏に下って唇の内側を還る
 また別枝は再び肝より別れて横隔膜を貫き上って肺に注ぐ
 また足背から別れた経別は上って陰毛の辺りで胆経と合流する

参考文献
 黄帝内経霊枢(経脉・経別)


注)これらの流注図はそれぞれの経絡が経穴の分布する体表面以外ではどのようなところを循っているかを図示することを主な目的としています。
この知識があると臨床で証の弁別や切経、標治法などいろいろな場面で役に立ちます。
経穴を中心とした流注に関しては他の文献などを参照ください。

参考文献 黄帝内経霊枢