東洋医学と西洋医学のものの見方には決定的に異なるところがある。

東洋医学は人のからだを論じるときに人間の五感で判断できるもの以外は推論によって説明する。ただ推論する根拠は長く科学の発展を組み入れなかったので科学的証明はなされていないものばかりだが素晴らしい観察力と膨大な臨床経験からくるかなり正確な確率に基づいている。だから東洋医学は多くが証明がなされていないがその体系はほぼ中国明時代に完成したと言って良い。これからもし東洋医学に延び幅があるとしたら東洋医学の領域まで科学が追いついてからだろう。

西洋医学はヒポクラテス医学を基にしているのでいわゆる科学的である。科学的であるので最先端の科学と共に発展していく。発展していくがその発展のスピード・進度は科学の発展の域を決して超えない。だから未だに未完成で発展途上である。だから東洋医学が全くかなわない結果が出せる領域とその逆が混在していて今のところバランスが悪い。それに加え最近は医療現場では特に患者さんへの説明においては目の前に-科学的に証明されたものがない限り推論でものを言うことを極力避ける傾向にある。
西洋医学であっても過去には殆どが推論で判断するしかない時代が長く続いたが20世紀になって加速度的に診断から推論を排除する傾向が強くなりCTやMRIの出現で近年益々その傾向が強くなった。しかしCTやMRIが駄目なのではないCTやMRIは素晴らしい検査機器だ。これらのお陰で飛躍的に診断技術が上がったのも事実だ。だがその精密さ故に病態の全体像が掴めにくくなっていることもある。東洋医学者であれば平気で推論で言えるような病症の説明も西洋医学者の立場では軽々に物申せませんとなってしまうことも多い。

「異論医論」ではからだに起こってくる現象や症状を一般的な説明の補足をしたり科学的証明はないが今解っていることや事実を基に恐らくそうだろうとそうに違いないと私が勝手な推論を立てて論じてみたいと思っている。東洋医学者は推論するのが仕事の重要な一部です。

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