鍼の作用には大きく分けて二つの働きがあると考えています。

ひとつは「経穴ゲートスイッチ理論」で言うところの「スイッチ」の役目です。スイッチですから症状が発現している部位以外にも選択すべき経穴は沢山存在します。

もうひとつは傷ついた部位が充分治癒しないまま慢性的な状態になってしまったところの近くに鍼を刺すことで意図的に少し組織を傷つけて衰えた再生機能を賦活させるという作用です。

傷つけるというと治療目的に反するようですが鍼の太さは0.14mm~0.20mmくらい(毛髮の太さ:0.05mm~0.15mm)なので傷つけると言っても微小な傷です。微小ですが傷ついたのは事実ですから改めて「自動調整機能」が働きます。新しい傷の修復が始まることで充分修復しないまま「自動調整力」が活かせなくなっていた部位もつられてその機能が働き始め治癒を促すきっかけになると考えています。