「経穴ゲートスイッチ理論」では症状からその発現している根拠になる「経(流注)」を絞り込んで治療方針を導き出します。誤解を恐れず言えば「証」を立てなくても「経」を特定できれば治療ができるものも沢山あります。以下はその一例です。

患者 75歳♀

主訴 肛門からひきつるような痛みが続いている。動作には関係ないがかなり痛いので内科を受診し大腸ファイ
バー検査をしたが異常所見は認められない。更にCT検査を行う予定(後日CT検査の結果、異常なし)。

既往歴・現病歴 脊柱管狭窄症

治療方針 病症は督脈の流注にあるので督脈の病症であると判断した。また痔疾に有効な百会穴も併せて用い
てみる。更に現病歴より陽蹻脈の申脈を従穴として用いることにする。

脈状 遅数=ヤヤ遅、浮沈=ヤヤ沈、虚実=虚、ヤヤ牢、ヤヤ濇

治療
①;後谿;手太陽小腸経(兪土穴)、八脈交会穴(督脈、陽蹻脈に交会)、作用;寧心安神、清利温熱、通絡止痛
②;申脈;足太陽膀胱経、八脈交会穴(陽蹻脈、督脈に交会)、作用;疏風解表、安神定志、舒筋活絡緩急止痛
③;百会;督脈(肝に交会(作用;平肝)、三陽五会(三つの陽経と足厥陰肝経、督脈が交会))、作用;情熱開竅、
健脳寧神、回陽固脱、平肝熄風

督脈―陽蹻脈の組み合わせを使い、右後谿穴、左申脈穴、百会穴(痔疾特効穴)ヘステンレス0番8分鍼を5mm程刺入し置鍼し途中から後谿穴には和的手法を加えた。5分程で症状は消失した。以後、同じ症状は出ていない。(2011.4.5)